Bio X Cell社 – 抗体の構造
イントロダクション
免疫グロブリン(Ig)としても知られる抗体は、1890年に初めて記述された大きなY型の糖タンパク質であり、細菌やウイルスといった外来の抗原を識別し、無力化する免疫システムで使われます。抗体は、非常に強い特異性と高い親和性で、事実上、どの非自己の表面にも結合することができます。これらの特性により抗体は、免疫のカギであるだけでなく、生物医学研究や診断、治療において必要不可欠なツールとなっています。
抗体の構造
抗体は2つの重鎖と2つの軽鎖から成り立っています。軽鎖は、ポリペプチド配列の小さな違いに基づいて、カッパー(κ)またはラムダ (λ)鎖に分類されます。重鎖は抗体のクラスまたはアイソタイプを定義します。各々の構成する鎖は1つのNH2末端の可変部と1つ以上のCOOH末端定常部を含んでいます。それぞれ可変部と定常部はおおよそ110~130個のアミノ酸からできています。両方の軽鎖は1つの定常部を持つ一方で、重鎖はアイソタイプを定義する3つまたは4つの定常部を持っています。3つの定常部を持つ重鎖は、第1と第2の定常部の間に1つのスペーサー/ヒンジ領域を持つ傾向があります。典型的な軽鎖は約25 kDaの質量を持ち、3つの定常部とヒンジを持つ重鎖は約55 kDaの質量を持ちます。

アイソタイプ
抗体は、個々の重鎖の定常部の種類によって定義されるアイソタイプに分類され、各アイソタイプは異なる定常部の遺伝子によってコードされます。アイソタイプ間における重鎖の定常部の違いには、鎖間のS-S結合の数と位置、結合したオリゴ糖部の数、定常部の数、ヒンジ領域の長さが含まれています。哺乳動物において、抗体はIgG、IgM、IgA、IgD、 IgEの5つのアイソタイプに分類されます。ヒトとマウスにおいては、免疫グロブリンIgGはS-S結合の数とヒンジ領域の長さと柔軟性の小さな違いに基づいて、サブクラス(マウスにおける例: IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgG3)に分類されます。様々な抗体のアイソタイプは生物学的特徴、構造、標的の特異性、分布において違いがあります。

IgG
人体内で見つかる最も一般的なアイソタイプはIgGです。全ての免疫グロブリンのアイソタイプの中で最も長い血清中半減期を持ちます。IgGは重鎖の定常領域における構造的、抗原的、機能的な違いに基づいて、さらに4つのサブクラスに細分化されています。例えば、IgG1とIgG3の抗体は一般的に、タンパク質の抗原に対する反応で誘導される一方で、IgG2とIgG4は多糖類の抗原と関連があります。
IgD
循環するIgDは血清中の濃度が非常に低く、短い血清中半減期を持ちます。IgDの機能は分かっていません。
IgE
IgEは血清中での濃度が最も低く、全ての抗体アイソタイプで最も短い半減期を持ちます。IgEは寄生虫の感染に対する反応や過敏症、アレルギー反応と関連があります。
IgA
IgAの血清中濃度は、IgMよりも高いですがIgGよりもかなり低い傾向があります。IgAは通常血清中にモノマーとして存在していますが、ポリペプチド鎖のS-S結合で形成されるJ鎖に第3定常領域が結合する、二量体を形成できます。また、IgAは分泌成分を含んでいます。その分泌成分は、二量体の第2定常部に対してS-S結合しています。IgAは、直接中和または粘膜表面への結合の阻害による毒素、ウイルス、細菌に対する防衛において重要です。
IgM
免疫反応において最初に生産される抗体がIgMです。
成熟と抗原刺激の後、IgMユニットは互いに、第4定常領域におけるS-S結合によって連結し、五量体IgMを形成します。五量体IgMも、S-S結合によって2つのモノマーと結合しているJ鎖を持ちます。通常、単量体のIgM分子は未熟なので親和性が低いですが、五量体のIgMは、特に抗原が複数の繰返しエピトープを持つ場合に、五量体の抗体と抗原間の多量体相互作用の方法により高い結合力を獲得します。
F(ab)とFcの断片
全ての抗体は2つのF(ab)領域と1つのFc領域を持ちます。F(ab)領域は抗体分子の2つの同一の腕に対応し、重鎖の可変部と第1定常部とペアになった完全な軽鎖が含まれています。Fc領域は第1定常部を除く、重鎖の定常部に対応します。よく断片(フラグメント)として言及されるこれら3つの領域は、タンパク質分解酵素の消化によって分解することが可能です。酵素パパインによる消化は抗体を2つのF(ab)断片と1つのFc断片の計3つの断片に分解する一方で、酵素ペプシンは2つのF(ab)断片を分解せず、結果的に1つのFc断片と、S-S結合で合体した両方のF(ab)断片から成る1つのF(ab’)2断片に分解します。F(ab)とF(ab’)2の断片は、消化後も抗原に結合する能力を保持しており、ある種の免疫化学的技術と実験の応用にとって理想的なツールになります。

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