BioXcellーCOVID-19の発症と治療の新規モデル
COVID-19パンデミックの進行に伴い、新しいワクチンや治療法の開発の必要性が高まっています。その開発において重要な役割を果たしているのが感染モデル動物であり、マウスが最も多く使用されています。しかし残念ながら、市販の実験用マウスはSARS-CoV-2に感染しにくいという欠点があります。SARS-CoV-2が細胞に感染するためには、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が肺細胞表面のACE2受容体に結合する必要があります。しかし、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質はヒトACE2 (hACE2) にしか結合せず、マウスACE2には結合しないということが開発上の問題になっています。
この問題を克服するために、中国広東省広州医科大学のJincun Zhao医師を中心とする研究者グループは、肺細胞にhACE2を発現するマウスの作製を試みました。まず、研究グループは、hACE2のDNA配列を含むアデノウイルスを作成しました。次に、マウスの脳細胞をこのアデノウイルスにin vitroで感染させたところ、hACE2を発現する細胞が得られました。このhACE2を発現した細胞は、SARS-CoV-2への感染に成功しました。
次に、研究グループは、一般的な実験用マウス系統である野生型(WT)のBALB/cマウスとC57BL/6マウスにアデノウイルスを感染させたところ、驚くべきことに、両者とも肺でhACE2を発現していました。これらのマウスはその5日後SARS-CoV-2に感染し、2日以内にCOVID-19の徴候を示し始めました。マウスは呼吸困難を示し、体重が最大20%減少し、肺にSARS-CoV-2の高い感染力価を示していました。感染したマウスの肺組織を調べたところ、炎症細胞浸潤、壊死性物質、肺胞水腫が認められ、重度の肺炎に現れるすべての症状が見られました。著者らは、この新しいCOVID-19マウスモデルを用いて、I型インターフェロンとSTAT1シグナルがウイルス排除と症状の回復に重要な役割を果たしていることを発見しました。その後、Bio X Cell社の抗CD4抗体 (clone GK1.5) および抗CD8抗体 (clone 2.43) を用いて、in vivoで感染マウスのCD4およびCD8 T細胞を枯渇させ、CD4およびCD8 T細胞も最適なウイルス排除に必要であることを発見しました。
COVID-19の治療において、COVID-19の感染から回復した患者から血漿を移植するといった治療法などが提案されています。これを検証するために、著者らはSARS-CoV-2感染から回復した3人の患者から血漿を入手し、SARS-CoV-2に感染させる1日前にマウスに投与しました。その結果、驚くべきことにウイルス排除の促進と肺組織障害の軽減が観察されました。
このCOVID-19マウスモデルを利用することで、SARS-CoV-2感染症を治療するための薬剤、ワクチン、抗体治療薬の開発、スクリーニング、同定のペースが加速されると著者らは期待しています。
元の論文:Generation of a Broadly Useful Model for COVID-19 Pathogenesis, Vaccination, and Treatment
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