BioXcell — 動き回るマクロファージ:肺胞マクロファージのパトロールの可視化
毎日10,000リットル以上の非滅菌空気が私たちの肺を通過しています。ほとんどの病原体は上気道でろ過されますが、一部の細菌は肺の中で酸素と二酸化炭素が交換される肺胞に侵入していることが示唆されています。最近発表された研究では、カナダのアルバータ州カルガリー大学のPaul Kubes率いる研究チームが、肺胞マクロファージが肺から細菌を除去する様子を可視化する方法を開発しました。著者らはBio X Cell社の抗マウスIFNγ抗体 (clone XMG1.2) を用いて、インフルエンザやCOVID-19などの呼吸器ウイルスに感染すると、II型インターフェロンシグナル伝達経路を介してマクロファージが麻痺し、致命的な二次性細菌感染につながることを発見しました。
吸入された病原体に対する免疫応答については、その特徴がまだ明らかになっていません。多量の細菌が吸入されると有害な炎症反応が起こることは知られていますが、吸入された少量の細菌がどのようにして炎症反応を起こさずに排除されるのかは不明のままです。肺胞マクロファージは肺胞に比べて数が多く、動かないと考えられていたため、炎症性好中球からの助けを借りずに肺から細菌を除去することは不可能でした。著者らは肺胞マクロファージによって取り込まれる色素および生体内イメージング技術を用いて、in vivoで肺胞マクロファージを観察しました。その結果、得られた動画から肺胞マクロファージは固定されているのはなく、むしろ異物や細菌を貪食しKohn孔と呼ばれるチャネルを介して移動し肺胞をパトロールしていることが示されました。このことは、肺胞マクロファージは固着性であるとの見方と矛盾しており、比較的少数の肺胞マクロファージが複数の肺胞から細菌や異物を除去することができることを示唆しています。
肺胞マクロファージの移動のメカニズムをよりよく理解するために、著者らは細胞接着に関わるタンパク質の発現を調べました。その結果、肺胞マクロファージは他の免疫細胞にも見られる細胞接着分子であるLFA-1を発現していることがわかりました。さらに著者らはBio X Cell社の抗マウスLFA-1α抗体 (clone M17/4) を用いて、LFA-1は肺胞マクロファージが肺胞表面を緩やかに動くために必要であることを示しました。また、著者らは、GFP標識した細菌をマウスの肺に導入することで、肺胞マクロファージが吸入された細菌を素早く捕食することを発見しました。加えて、肺胞マクロファージが化学走化性を利用して細菌を発見することを示し、肺胞マクロファージが細菌に向かって移動する様子を観察しました。この迅速なバクテリアの除去によって肺胞マクロファージは好中球のリクルートや不適切な炎症を防いでいると考えられます。
重要なことは、化学走化性を阻害すると肺胞マクロファージが麻痺し、好中球の浸潤と炎症が起こるということです。著者らは、インフルエンザやCOVID-19のような呼吸器系ウイルス感染の際には、肺胞マクロファージの運動障害が二次的な細菌感染の原因になるかもしれないという仮説を立てました。実際にインフルエンザA型に感染すると、肺胞マクロファージの緩やかな運動が停止し、好中球反応の増加につながりました。これらの知見は今後、①ウイルス感染時の肺胞マクロファージの無効化メカニズム、および②細菌感染予防のために肺胞マクロファージを標的とする方法、の二つを調査するための基礎を提供するものです。
元の論文:Patrolling Alveolar Macrophages Conceal Bacteria from the Immune System to Maintain Homeostasis
各商品の価格のお問合せ、商品仕様書のご依頼、その他のお問い合わせは下記までお願いします。
【商品取扱元】株式会社 東京未来スタイル
info@tokyofuturestyle.com
TEL:029-851-9222 FAX:029-851-9220
Warning: Undefined array key "HTTP_REFERER" in /var/www/vhosts/fsfield.net/subdomains/tokyofuturestyle/tokyofuturestyle.fsfield.net/httpdocs/wp-content/themes/Tokyo Future Style/single.php on line 255