BioXCell — 粘膜微小環境の問題―ウイルス素因における好中球性炎症の役割
ウイルスにさらされると病気になる人と、そうでない人がいるのはなぜでしょうか?ウイルス感染に対する感受性を決定する要因として曝露期間や以前に感染したときの抗体の存在を示唆する証拠はありますが、さまざまなウイルス感染の生物学的基礎はいまだに明らかになっていません。研究者たちは、まずヒトのモニターを用いて研究を行い、次にマウスモデルを用いてその結果を検証しました。研究者たちは、Bio X Cell社の抗マウスLy6G抗体 (clone 1A8) と抗マウスCD8抗体 (clone YTS169.4) を用いて、好中球性炎症が呼吸器感染症の感受性の重要な因子であることを示唆しました。
RSV (Respiratory syncytial virus) は成人では軽度の症状を引き起こしますが、乳幼児では重度の症状を引き起こす可能性があります。インペリアル・カレッジ・ロンドンのPeter Openshaw医師率いる研究グループは、健康なモニターの鼻粘膜からサンプルを採取した後、RSVを接種させました。その結果、研究に参加した 58 名のモニターのうち、57%がRSVの症状を呈しました。RSV接種前のサンプルの RNA 発現を解析したところ、発症したモニターは接種前に好中球性炎症シグナルが観察されました。さらに接種後に採取したサンプルを解析したところ、無症状であったモニターは自然免疫活性のレベルが上昇していました。このことから、RSV接種前の粘膜に存在する好中球が、感染に対する感受性を決定する重要な因子である可能性が示唆されました。
次に著者らは、RSV感染が認められたマウスモデルに対して好中球の化学誘因物質であるCXCL1を用いることで、ヒトのモニターに見られる好中球の増加を再現しました。その結果、RSV接種前のCXCL1投与によってマウスの重症化およびCD8+ T細胞の浸潤が観察されました。その後、Bio X Cell社の抗マウスLy6G抗体を用いて、CXCL1を投与したRSV感染マウスの好中球を枯渇させました。その結果、アイソタイプコントロールで処理したマウスよりも病気になりにくく、感染前の鼻粘膜の好中球の増加がウイルス感染に対する感受性につながることが確認されました。同様に、Bio X Cell社の抗マウスCD8抗体を用いてCXCL1処理したRSV感染マウスのCD8+ T細胞を枯渇させたところ、重症度は低くなり、CD8+ T細胞が疾患の亢進を媒介していることが示されました。
以上の結果から著者らは、RSV接種前の呼吸器粘膜の状態がRSV接種後の発症の有無を決定する重要な因子であると述べています。RSV接種前に好中球活性化が亢進していた患者は、RSV感染後の炎症応答の誘導に失敗し、病気になる可能性が高くなりました。この知見は、RSVだけでなく、SARS-CoV-2を含む、潜伏期間の長い他のウイルスにも当てはまる可能性があります。
元の論文:Neutrophilic inflammation in the respiratory mucosa predisposes to RSV infection
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