BioXCell — 癌の肺転移においてT細胞の酸素感知が果たす役割|東京未来スタイルは研究用試薬の輸入商社です。

アメリカ国立がん研究所のNicholas Restifo医師率いる研究グループは、PHD（prolyl hydroxylase domain）タンパク質とよばれる酸素感知タンパク質がT細胞内において、肺に頻繁に流入する無害な粒子に対する過度な免疫応答を抑制していることを発見しました。PHDタンパク質は制御性T細胞の発生を促進し、炎症性T細胞の発生を抑制します。

著者らは、PHDの持つこの抑制機構が、血中を循環している腫瘍細胞の肺転移をゆるしてしまうのではないかという仮説を立てました。この仮説を検証するため、著者らはPHDノックアウトマウスと対照の正常マウスに黒色腫細胞を注入し、様子を観察しました。結果、正常マウスでは肺における悪性黒色腫の増殖を認めたのに対し、PHDノックアウトマウスでは肺への腫瘍細胞の定着はほぼ見られませんでした。

著者らはこの研究において、PHDタンパク質が肺におけるIFNγを介した腫瘍クリアランスを抑制することを確認するため、Bio X Cell社の抗マウスIFNγ抗体（clone XMG1.2）を用いてIFNγ介在性抗腫瘍免疫を中和しました。また、in vitroで未熟T細胞のTh1およびTH17への細胞分化を誘導するため、Bio X Cell社の抗マウスIL-4抗体（clone 11B11）を用いてIL-4を中和しました。

元の論文：Oxygen Sensing by T Cells Establishes an Immunologically Tolerant Metastatic Niche