BioXCell — TNF阻害剤による予防的治療は多剤併用免疫療法の転帰を改善する可能性がある
PD-1阻害薬とCTLA-4阻害薬の2剤を併用した免疫療法は、悪性黒色腫、腎細胞がん、および非小細胞肺癌に対して非常に高い奏効率を示します。しかし、この治療法は常に深刻な免疫関連副作用(immune-related adverse events: irAE)のリスクが伴います。ダブルチェックポイント阻害によるirAEで最も頻繁に起こるのが大腸炎であり、これまで問題視されてきました。
現在、PD-1阻害薬とCTLA-4阻害薬の2剤併用療法でirAEが認められた場合は直ちに2剤の投薬を中止し、ステロイド投与に切り替えることで治療が継続されます。副作用が重篤な場合は、炎症を抑えるためさらにTNF阻害剤が用いられます。
スペインのナバラ大学応用医学研究センター(CIMA)のIgnacio Melero医師率いる研究グループは、併用免疫療法の副作用軽減にTNF阻害剤をどの程度使用できるかを明らかにするため、マウスの大腸炎モデルおよび腫瘍モデルを用いた研究を行いました。彼らはまず、TNF阻害剤の予防的投与がPD-1阻害剤とCTLA-4阻害剤の2剤併用により引き起こされる大腸炎の増悪を抑えることを明らかにしました。次に、彼らは腫瘍マウスを用いてTNF阻害剤の予防的投与がPD-1阻害剤とCTLA-4阻害剤の2剤併用療法時の抗腫瘍活性に与える影響を調べました。その結果、彼らは予防的TNF阻害剤の投与が併用療法による抗腫瘍活性を阻害しないだけでなく、むしろ活性化を促進しているのだということを発見しました。
マウスで得られた結果の臨床応用可能性を示すため、研究グループはヒト化マウスを用いた検証を行いました。機能性リンパ球を欠くマウスにヒトPMBCを注入することにより作製したヒト化マウスは、大腸炎様の症状を発症します。これらのマウスにPD-1阻害剤のニボルマブとCTLA-4阻害剤のイピリムマブを投与すると、予想通り炎症が悪化することが確認されました。一方で、2剤の投与前にTNF阻害剤のエタネルセプトを投与すると、大腸の炎症が抑えられ、大腸炎の症状が著明に改善されることが確認されました。
この研究により、TNF阻害剤の予防的投与はニボルマブとイピリムマブの2剤併用療法のirAEリスクを軽減するだけでなく、その効力を同等もしくはそれ以上に引き上げられる可能性が示唆されました。この仮説が立証されれば、予防的TNF阻害により複数の免疫チェックポイント阻害薬を用いて治療を行う際にイピリムマブの投与量を安全に増やすことが可能になり、治療による抗腫瘍効果をさらに高めることが可能になるでしょう。
この一連の研究において、前臨床段階のモデルマウスに対してBio X Cell社の抗マウスPD-1抗体(clone RMP1-14)、抗マウスCTLA-4抗体(clone 9D9)、抗マウスTNF-α抗体(clone XT3.11)が使用されました。
元の論文:Prophylactic TNF blockade uncouples efficacy and toxicity in dual CTLA-4 and PD-1 immunotherapy
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